危機一髪


●4月5日(月)
渋谷で役者と顔合わせ。楽しみ。ユーロスペースで『カケラ』を観る。満島ひかりが歩道橋の上を走って逃げる姿、あの走り方、あれは素晴らしい。夜、小アジの唐揚げを作る。
●4月6日(火)
昼過ぎ、新宿で打ち合わせ。低予算パチモノ企画。楽しみ。その後、10期生のMを呼び出して、一緒にプロットを考える。雑談ができる男で助かった。吉祥寺に行き、リブロで『デジタル・フィルムメイキング』を購入。夜、寿司を食う。
●4月7日(水)
今日は10期生のTを呼び出して、プロット作業。ラストまで見えた。助かった。ありがとう。俺は一人でやるより、誰かとやったほうがはかどる。帰宅して、夜中までかけて書き上げてみる。いい感じだと思うが、少し寝かせよう。
●4月8日(木)
リブロで今月号の『新潮』と『刑事魂』を買う。西友に行ったら鶏の胸肉が安かったのでそれでカレーを作ることにした。徹夜で原稿を書く。その勢いで、昨日書いたプロットの手直し。カレーと同じだ、翌日のほうがコクが出る。早朝、二つとも送信。
●4月9日(金)
美学校でカリキュラム会議。なかなか結論が出ない問題について議論。終了後、近くの居酒屋で軽く打ち上げ。その後、一人で新宿に飲みに行き、朝まで。
●4月10日(土)
昼起床。暖かい。カレーを食ってから、井之頭公園で友人たちがやっている花見に参加。途中買い出しに行ったら、漫画家の大橋君のグループとばったり。少しだけお邪魔する。夕方、下北沢へ移動。Threeで宇波の新バンドのライブ。totas causas de malignitat。宇波がこういうバンドやるなんて、意外。俺もこういうのやりたいのに(できないけど)。鎮西監督と長宗我部さんも来てた。ビールをひっきりなしに飲んで、湯浅湾で気持ちよく揺れていたら眠くなってしまい、後半ソファでウトウトしてた。西荻に戻ってCLOPで3時くらいまで飲み、帰宅。
●4月11日(日)
TRASH-UP!!」の屑山さんに誘われて、スーパーデラックスへ。あふりらんぽのオニのソロアルバム発売記念ライブ。楽しかった! いいライブだった……。11、Ichi、oneone、そしてオニという順番。Ichiは本当に楽しくて、CD買ってしまった。オニは、動物みたいで見ていて本当に体が熱くなる。ポップなセンスと三上寛のような野蛮さがクルクルと入れ替わる。会場ではいろんな人に会った。mmmも来てたし、中原さんとも会った。その後、新宿に移動。更に移動して吉祥寺で屑山さんと再合流。が、明日は撮影なので先に帰る。

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●4月12日(月)
いやあ、大変だった。雨の中、井之頭公園で11期生の子たち……というより、『Mっぽい』のいつものメンバーで自主映画の撮影。『Mっぽい』の完結篇。なのだが、撮影当日になっても撮る内容が決まらず。とりあえず、人と機材だけ用意して、待ち合わせ場所で俺は茫然としている。まあ、とりあえず撮ろうと言って適当に考えたシチュエーションは意味不明。スタッフ・キャストも茫然。昼飯を食いに行ったら、雨の中に戻りたくなくて、テンションが下がる。俺がつい「やっぱり、プロットもなしで撮影なんて無理だ。今日は諦めよう。これから新宿で『第9地区』でも観ようぜ」と口にしたら、キャストの一人である渡辺に「本当に行くんですか?」と言われる。グッと言葉につまる俺。迷う。だってここで続行しようと思っても、なにを撮ればいいのかわからない……。が、なんとなく勘が働いた。17歳の夏休みにも似た勘が働いた。ここで撮影しなかったら、この先一生映画が撮れない気がする……という勘。井之頭公園に戻る。しかし歩きながらも、頭の中にはなにもイメージが浮かばない。何度目かわからない「やっぱり無理だよ」という言葉が漏れる。それでもスタッフ・キャストは黙ってついてくる。ついに俺が口にしたのは、「いまの俺の状態を撮ろう」という提案。川口演じる96年のフルサワが「集まってもらったけど、やっぱり無理だよ。撮れないよ」と言う。で、渡辺演じるちーちゃんが怒る。「いつもそんなですよね。誠実さがないですよ」。はっきり言って、これは2010年の話だ。それを撮っている俺はなんなんだ。と、思いつつ、渡辺がその後、素晴らしい芝居を見せてくれた。スタッフ一同、興奮してしまう。撮影は16日に続く。果たして『Mっぽい』完結篇は完成するのか? 現場でみんなが興奮した渡辺のよさを観客に伝えられるのか。2010年の俺、頑張れ。
それにしても、俺の勘は正しかった(と思う)。今日はいろんな意味で渡辺に助けられた。