公開中です。

思えば撮影は去年の4月、5月……先日久しぶりに橋本愛ちゃんと山�賢人君にあったら、なんだか大人になっていた(賢人君は『今日恋』にも出てもらったけど、10代ってあっというまに変身するからな)。綾辻行人さん原作の『アナザー』が全国東宝系で公開中です。自分の思春期を振り返ると、中学三年生の頃って、将来に対する不安、子どもでいられない恐怖に満ちていたな、と思い、だから『アナザー』は青春ものなんだよな、と考えて撮った映画です。災厄に満ちた日々を、希望を失わずに前進する主人公二人のいじらしさが、観客のみんなに共感してもらえればと願っています。
個人的に思い出深いのは、「役者という仕事の面白さがまだわからない」とクランクイン前に率直に言っていた愛ちゃんが、とあるシーンの撮影のとき、「OK」を出した僕のそばにやってきて、おずおずと(でも力強く)「もう一度やらせてください。次はもっといいお芝居ができると思います」とリテイクを希望してきたこと。その日から、愛ちゃんの目が変わった。ラッシュを見たとき、それがはっきり映っていた。「映画だ」と思った。
14歳の頃、僕は映画館でホラー映画に救われた。将来の道がかすかに見えた気がした。自分の映画も、中高生にとってのそういう映画になれば嬉しい。