学生残酷映画祭と時をかける少女

日曜日、12日は阿佐ヶ谷ロフトで学生残酷映画祭が開催された。去年に引き続き、なぜか審査員として参加。タコシェ伊東美和さんも続投。今年はジャンクハンター吉田さんと高橋ヨシキさんも参加。はっきり言ってレベルの高い映画ばかりだった。当たり前だ。残酷描写があることが参加条件。そんな映画を撮ろうと思った時点でハードルは高い。ぼんやりカメラ回してるだけじゃ撮れない映画ばかり。『女子高生のはらわた』『FRIEND IS THE DEAD』『魔眼』のいずれかがグランプリじゃないかと審査員一同悩んだが、いずれの作品にも一長一短があり、はっきり言うと飛び抜けた作品はなかった。どれも技術的に素晴らしいんだけど、やはり「映画っぽさ」に安住しているように感じてしまった。「……該当作なし、でいいんじゃないか。簡単にグランプリをやるような気楽な映画祭じゃないんだよ、学生残酷映画祭は!」と一同盛り上がって、壇上でそう発表したのだが、当の主催者は話しあいの場にはいなかったので、ギョッとしていた。ごめんね。でも来年もまた続けて欲しいし、もっともっと素敵な映画祭にして欲しい。たぶん来年あたり、人気俳優が俳優をやめて監督宣言して本名で応募してきたりするよ。
打ち上げのあと、時計を見たらまだ七時だったので、八丁堀の七針へ。mmmのライブ。先日のライブがあまりに素晴らしかったのでドキドキしながら行った。しかしこちらの期待や不安をはるかに上回る、感動的なライブだった。とっくに知っていることだったけど、mmmという人は自分で作った曲を、幾通りにも解釈できてしまう。自分の歌を、わかったつもりにならない。バンド編成でのライブだったから、当然先日のソロとは違うんだけど、声と表情すべてが歓喜にあふれるライブだった。「マジカル・オムニブス号」のあの多幸感ったら!(先日の同曲は、その多幸感を追憶として歌うような印象だった)。
そして個人的にはカバー曲の「時をかける少女」。ドラムの下田温泉さんの、ニコニコと嬉しそうに叩いている表情を見ていたら、10年以上前に下田さんのアパートで昼間から焼酎を飲みながら話したときのことが場面として思い浮かんだ。そのときに話したことを今でもおぼえているけど、それとは別のことを思った。そのときの僕らはmmmなんて歌手と将来出会うことは想像していなかった。僕らが酔っ払っていたその頃、mmmはたぶんまだ小学生か中学生で、彼女だってこんなおっさんたちと将来知りあうなんて思っていなかっただろうな。なんてことを、「時をかける少女」を歌うmmmの歌声とバンドの音が妄想させて、感傷的になってしまったのだった。