いっぱいいっぱい

色々ね。
吉祥寺LONLLONのブックファースト四方田犬彦の『歳月の鉛』を買う。

歳月の鉛
歳月の鉛
posted with amazlet at 09.06.09
四方田 犬彦
工作舎
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映画に関する本はあまり面白くないが、自分のことを書くととたんに面白くなる著者だと思う。まだ半分くらいしか読んでないが、笑える。そのことが物悲しい。つまり読んでる自分の凡庸さを思い知らされるから。著者が1972年に東大に入学したときからのエピソードがつづられているのだが、僕が生まれたのがまさに72年だから、色々と考えてしまう。たとえば登場する書物のタイトルなどに、個人的な思い出が喚起されてしまう。『マルドロールの歌』、僕が読んだのは18歳のとき、大学一年生のとき。母親の本棚にあったのを借りて読んだ。四方田青年がそれを読んだとき、うちの母も近い時間・場所でそれを読んでいたんだな。などといちいち思ってしまう。面識がないはずなのに、「僕はこの人を知っている」と感じてしまう。
夕方、アテネフランセでキム・ギヨンの『下女』を観る。知り合いにたくさん会うかと思ってたが、屑山さんにしか会わなかった。
西荻に戻って、とやじでためしにキム・ギヨンの名前を口に出してみたら、店員の女の子から「私、好きですよ」という返答。韓国の若い人の中でも、賛否両論なんだって。なんとなく、それは若い映画好きたちの立ち位置をめぐる自意識のありかたを示す指標なのかな、などと思った。