猫つながり


新橋のTCC試写室へ。上映15分前に行ったらすでに満席だった。
鈴木卓爾監督『私は猫ストーカー』。タイトルを見て、「猫がたくさん出てくるのかな」と期待してたらそれは裏切られなかった。星野真里が人間の中で唯一人間の芝居じゃなくて猫の芝居をしているのがよかった。逆に言うと、他の役者たちが普段通り演技をしているのが、ひどく大げさに見えてしまって、どうなのかと上映中に思っていたが、帰りの道で、「ああ、そうか。猫から見たら人間の仕草なんてどれもこれも不自然極まりないし、あんな大声で喋ったりするからびっくりするんだよな」と納得してしまった。

どこかの場面で、誰かの声がひどく大きく聞こえて驚いて逃げたくなってしまったが、きっと猫の気持ちになっていたのだろう。なにしろキャメラそのものが何度も猫になってしまう映画なのだから。

そうそう。個人的なことを何度も思い出した。卓爾さんと俺との最初の出会いは97年度のPFF。俺の8ミリを一次審査で推してくれたのが卓爾さんだったと、パーティーのときに聞かされた。そのときの8ミリの内容というのが、「猫を探している女の子に、その子に気がある男の子が『ウチの庭にその猫来るよ』と嘘をつく」というものだった。東京の路地を猫を探してウロウロする、というところだけだけど、なんとなく10年のつながりを感じてしまったのだった。
http://nekostalker.jp/